どんぐりPOのよもやま話

どうしてR18の年齢制限やモザイク処理が必要なのか、という話

どうしてゾーニングやモザイクが必要なのか

どうか、創作に関わる人が一人でも多く問題意識を持ってもらえたらと思って筆を執りました。

くるっぷに限らず、えっちなイラストなどを描くと青い鳥のSNSやお絵かきSNSさんなどで投稿がBANされたりしてしまうのはなんでだ、ということがあると思います。

結論は、そういうものにはちゃんとモザイクをいれて、R18の区分をつけてください。でしかありません。

「どうしてモザイクがいるのか、どうして年齢制限があるのか、表現は自由じゃないのか!」というみなさんに現状どうして必要なのかを記載しています。

どうしてR18なのにモザイクが必要なのか

一言で言えばえっちなコンテンツは、モザイクがない時点でわいせつ物に該当するから、です。

わいせつ物、とされた時点で違法です。

このわいせつ物かどうか、を判別するのは大変にセンシティブな話になりますので深くここで議論はいたしませんが、一言でいってしまえばわいせつなものを配ったり、売ったり、並べて見せたりすると違法です

刑法175条を引用します。

わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。

刑法175条 第1項

で、こちらの法定刑はどうなるかといいますと。

  • 二年以下の懲役
  • 250万円以下の罰金

といった具合です。
でこちらですが、刑法、となっております。
どういうことかといいますと、警察事案、です。ものすごく簡単にいえば捕まるよ、マジで。ということです。

ここで問題となるのがわいせつ、の定義ですがここについては非常にあいまいです。一言で言ってしまえば裁判所がわいせつ物だと判定すれば有罪です。
いろいろな業界などの取り組みや判例が積み重ねられて、わいせつ物として判定をされないようにモザイク処理を行うなどの対応が取られてきた、のです。

ちなみにわいせつ物とは、

徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの

最高裁判例 昭和26年5月10日

と、一応判例があります。これに照らし合わせて判断をする他ありません。もうどういうことなのか細かく考えると難しいですが、基本はこれで判定するしかないです。

簡単に言ってしまえば、モザイク処理というのは上記のようなものではありませんよ、と言えるように入っているのです。そんなおかしな話があるか、と思う人もいるかも知れないのですが、ざっくりざっくりと言えば

表現の自由というのもあるので、落とし所としてモザイクを入れましょうね。

という運用になっているということです。表現規制だ!という方もいるかも知れないのですが、これでも合法の範囲でできるだけ表現の自由を守ろうとしてきた先人たちの努力でもあるのです。
どういう思想信条があろうと、現状でR18のゾーニングを行ったとしても無修正の性的表現を行えば違法となる可能性が高いです。これは実写でも絵でも、です。無修正エロっていうのは基本的には違法判定されるということです。
実写じゃないからセーフ!という方がたまにいらっしゃいますが、どういう対象であれわいせつ物認定されたらアウト、です。形態が文書でも図画でも電磁的記録に係る記録媒体その他もの、と法律に書かれていますから、絵でも文でも音でもJPEGでも紙でも形が何であれ、わいせつ物だ、と判定されたらアウトです。

つまり、十分にモザイク処理を行うことが大切です。

納得ができてもできなくても、あなたにとって悪法でも法は法です。
モザイクなくてもいいっしょ、はダメ絶対、なのです。

モザイク処理をしているのになんでR18で年齢制限しなくちゃいけないの?

モザイク処理が必要なことと、ゾーニング制限をすることは別の話です。

いわゆる、R18というのは、えっちなものだから18歳未満が見ちゃいけないという意味では有りません。そのまま18歳未満=青少年の閲覧禁止という意味です。
このゾーニング対応は刑法175条のマターではなく、青少年育成条例(各都道府県による)による規制になります。

青少年育成条例(東京都の場合)において、規制されている内容の一部を抜粋します。

一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
二 漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

(平四条例一九・平一三条例三〇・平二二条例九七・一部改正)

東京都青少年の健全な育成に関する条例 第7条

青少年は第二条の一項で18歳未満のものいう、と規定されています。
つまり、18歳未満の人に上記に該当するような書籍とか図画を頒布や閲覧を目的に提供すると青少年育成条例に抵触するとこととなります。

東京都の条例では7条に下記のように記載があり、努力義務となっています。

第七条 図書類の発行、販売又は貸付けを業とする者並びに映画等を主催する者及び興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条の興行場をいう。以下同じ。)を経営する者は、図書類又は映画等の内容が、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、相互に協力し、緊密な連絡の下に、当該図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は観覧させないように努めなければならない。

東京都青少年の健全な育成に関する条例 第7条

しかし、いわゆる青少年保護条例は、自治体で条例化されていますので都道府県で詳細が異なります

例えばですが、神奈川県の場合は明確に違反が取られます

第10条 知事は、図書類の内容の全部又は一部が前条第1項各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該図書類を有害図書類として指定することができる。(中略)
4 何人も、青少年に対し、有害図書類を販売し、頒布し、交換し、贈与し、若しくは貸し付け、又は読ませ、聴かせ、若しくは見せてはならない。

神奈川県青少年保護条例 第10条

神奈川県の場合には罰則の規定があります。

第53条 第31条第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(中略)
4 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する
(2) 第10条第4項の規定に違反した者

神奈川県青少年保護条例 第53条 4項2部分

これはR18に該当しますか?という質問がよく来ますが、一言で言ってしまえば青少年育成条例で規制されている内容かどうか、を判断することになります。ここまでの解説の通り、都道府県によって粒度の違いがありますので一概にこうとインターネットサービス側から回答することは難しく、R18に該当「するかもしれない」レベルでゾーニングの対応をお願いするという対応にならざるを得ません。

どれもすごく曖昧じゃないか! R18系作品を描くのだけど、どうしたらいいの?という方へ

あれこれと記載しましたが、たった二つのことを守りましょう。

  • 十分にモザイク処理を行う
  • R18コンテンツのゾーニングをする

十分なモザイク処理とは?というところになると思いますが、基本的には「覆い隠す」ということになると思います。ギリギリを狙うことは避けてください。

性器、接合表現に対して覆い隠すようにモザイク処理を行う

これです。

ゾーニングの問題もしかりです。

このくらいならゾーニングしなくていいよね?という安易な考えは捨て、車の運転のように「R18かもしれない」で運用をしてください。ゾーニングについては映画やゲームには基準が設けられています。

映倫の4区分(参考):https://www.eirin.jp/img/4ratings.pdf

ここまで細かい規定が同人誌などではあまり一般的ではなく、全年齢向け/R18(18歳以上のみ)という二区分になることが多いです。(くるっぷの年齢制限区分も全年齢とR18です)全年齢は文字通り年齢に関わらず誰でも閲覧可能、と考えましょう

どんなに素晴らしい作品でも、どんなに美しい絵を描いても、逮捕されるようなことになってしまえばその作品は誰にも読まれなくなってしまいます。また作家さん自身にとって大変なリスクになることなのです。

最後に


前段に記載したとおりモザイク処理は刑法175条が存在する以上、日本国内法としては性的な表現においては必須処理です。


また、この法律は親告罪でもありませんので、通報されるリスクがある/逮捕されるリスクがある、とお考えください。
なくてもいいじゃん、ではすまないのです。

全くのどんぐり個人の考えですが、えっちなものがダメ、というのは無理があるとは思っています。
マンガでもイラストでも小説でも人が人をえがくものですし、人は性行為をしますし人類が性的な興奮をしなくなったら種が滅亡するとも思います。なのでえっちなのがダメ、というのは無理があると思います。

刑法175条の是非について意見がある人もいると思います。
個人的にですが、あまりにも運用していくのに曖昧な法律だとも思います。ただ、曖昧だから守らなくていい、とはなりません
思想信条はあるかと思いますが、それを表明するためにあっちこっちのサービスにノーモザイクでえっちなものをアップすればアカウントが凍結されるなり、措置が取られるだけです。

くるっぷの運営上でも、実はR18区分のつく投稿は全体から見れば非常小さいですし、モザイクをしていないと検知される投稿も全体から見れば0.1%にも全く届きません

殆どの作家さんは、当たり前のようにモザイク処理もゾーニング設定もしてくださっています。

また閲覧者のみなさんもモザイク処理やゾーニングの意識は高く、通報での検知率はかなり高水準ではないかと思っています。(ありがとうございます!)

サービスの運営としては突如としてサービスが停止になるようなリスクを抱えてはおけません。0.1%の未満のユーザーを放置した結果、ドメインが停止されたり決済代行からサービスを止められるというリスクがあります。

ちなみにですが、サービス側で違法と思われるものを削除対応するというのはコストがすごくかかるのですがサービスを守るだけでなく、ユーザーを守るという側面もあります。
警察なり当局が動いてしまってから、だと投稿が削除されるだけでは済まない可能性が投稿者にもあるのです。

Twitterさんがここ最近センシティブや凍結が厳しくなっていると思いますが、いたちごっこが続くようであると基準が上がっていくことになるのではないかと思います。R18に該当する投稿って全体から見るとものすごく少ないのでTwitterさんなどのような巨大SNSともなれば、個別に対応を行うよりも十把一絡げにエロ禁止、としてしまうほうが事業的にはメリットが有る(運用コストが下がる)、ので規制のレベルがあがりやすいです。もしくは対応しきれなくなる、といってもいいかもしれません。

こちらは2011年の記事ですが1秒間にツイートされるツイート数は数千件レベルです。
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20111207-a048/
pixivさんにおいては2008年の記事で一日の投稿枚数が9000以上となっています。
https://markezine.jp/article/detail/5961

これだけの膨大な投稿内容を細かくひとつひとつ吟味し、それこそモザイク量の適切さまでユーザーに指導などを行うのはおそらく不可能です。

どうして細かく確認してくれないのだ、という意見を見ることがありますがしたくてもできない、んじゃないかと思います…

Twitterさんにかぎらずpixivさんにしろ、くるっぷでもですが、一般的にCGMを扱うサービスで投稿してくれるユーザーさんのことを考えないところはないと思います。
基本的には自由に投稿してほしいと考えると思いますし、できるだけ投稿を削除したり規制したくもないでしょうし、ユーザーの安全を考えると思います。使ってほしくてサービスを作るはずですから。

規制レベルがどんどん上がってしまうなんて未来にならないためにも、今一度たのしい創作活動のためにもモザイクとゾーニングをしてほしいと思います。

参考:
東京都青少年の健全な育成に関する条例
神奈川県青少年保護育成条例
わいせつ文書販売の判例(いわゆるチャタレー事件の判例)

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